CASE STUDY

大手商社グループのセキュリティガバナンス再設計

セキュリティ管理システム化の構想から、役割分担、現場説明、運用定着までを一貫して支援した事例です。

背景

クライアントは、グループ規模でセキュリティ管理の高度化を進める必要がある一方、制度やシステムを強くしすぎると現場運用が重くなるという課題を抱えていました。部門ごとに管理方法や申請手順が異なり、セキュリティ強化の必要性には合意があっても、現場側には「また管理項目が増えるのではないか」という警戒感がありました。

さらに、今後のAI活用やクラウド利用拡大を見据えると、従来の点検型運用だけでは追いつかず、仕組みとして回る管理体系が必要な状況でした。単なる規程見直しではなく、運用フローと役割分担まで再設計する必要がありました。

難所だったポイント

  • セキュリティ強化と現場負荷軽減を同時に成立させる必要があった
  • グループ内で管理責任と運用責任の境界が曖昧だった
  • 制度、システム、現場説明が別々に動いており、全体像が見えにくかった
  • 将来のAI・SaaS利用拡大も踏まえた柔軟性が求められた

この状況では、システム導入の構想だけを作っても機能しません。誰が何を入力し、誰が承認し、どの例外をどこへ上げるかまで明示しないと、現場は動けないためです。

支援内容

まず現行運用と管理体制を棚卸しし、規程、申請、レビュー、例外対応、監査対応がどこで分断されているかを可視化しました。そのうえで、管理項目を増やす発想ではなく、役割とフローを整理する発想でシステム化構想を再設計しました。

  • 現行運用と責任分界の整理
  • システム化の対象範囲と優先順位付け
  • 部門横断での運用フロー設計と役割定義
  • 現場説明資料、導入時FAQ、定着に向けた説明支援

構想資料だけで終わらせず、「現場が何を変えるのか」を具体化することを重視しました。そのため、制度設計と説明設計を分けずに進めた点が、この案件の重要なポイントでした。

主な成果物

  • セキュリティ管理システム化の基本構想資料
  • 運用体制と責任分界を整理した役割マップ
  • 現場展開用の説明資料と導入FAQ
  • 制度変更後の定着を見据えた運用設計メモ

重要だったのは、管理部門だけが理解する資料ではなく、現場責任者が「自部門で何が変わるか」を説明できる粒度まで落とし込んだことです。

成果

単なるシステム導入計画ではなく、業務プロセス改善と役割明確化まで含めた形で施策を整理できました。結果として、構想と現場展開が分断されない状態を作り、管理強化が現場の反発要因になりにくい土台を整えました。

定量的な効果指標は非公開ですが、本件では「管理強化」ではなく「現場で回る統制」に翻訳できたことが、実装フェーズへ進むうえでの大きな前進でした。

この事例から言えること

セキュリティ施策は、制度、システム、現場運用の3つが揃って初めて機能します。どれか1つだけ先行すると、他の2つが追いつかずに止まります。特にAI活用やSaaS利用が広がる局面では、統制の厳しさよりも、判断のしやすさと運用の再現性が重要になります。

セキュリティ施策を現場展開まで支援してほしい場合

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